へるすけあプロダクトマネジメントの鳥

ヘルスケアでのプロダクトマネジメント・ものづくりを考える

なぜヘルスケア関連の企業はロジックモデルを公開しているのかを調べてみた

調査の背景

いつの日からだろうか、ヘルスケア領域の企業が発行するプレスリリースに「ロジックモデル」が頻繁に掲載されるようになったことに気付きました。

例えば、PR TIMESで検索すると以下のような記事が出てきます。

また、会社のホームページにもロジックモデルが掲載されていることがあります。

こちらのロジックモデルを見ても、事業の売上・利益向上につながるような内容ではなく、 社会課題に対してどのように自分たちの事業が貢献していくかをその筋道と関係性を書かれています。

上記企業が高い社会意義を有していることは私も理解しています。 一方でこのように2022年ごろからなぜ急に「ロジックモデル」が公開される・使われるようになったのか不思議に感じていました。

そして、大体一緒に出てくる言葉として「インパクト投資」「インパクトファンド」があります。

こちらも、Xのタイムラインでは「インパクト投資が注目されている」「インパクトファンドからの投資を受けた」といったツイートが増えています。実際に私もリアルの飲み会でもロジックモデルの話と同時にインパクト投資という言葉を聞くようになりました。

正直、Xで流れてくる断片的な情報ばかり見ていたこともあり、

「それっぽいロジックを図をしているだけなのでは?」「国のお金を使って公共事業を肩代わり事業なのか?」など少しネガティブなイメージを持ってしまっていました。

理解しづらい事象はネガティブな印象を受けやすいものですね、、

「分からないものがあれば理解しに行けばいい」
(出典)進撃の巨人(漫画) 第108話

自ら調べ、整理し、 自分もこのロジックモデルを扱えるようになりたいです。

結論

Q:なぜヘルスケア企業の多くがロジックモデルを公開するようになったのか?

まず、ロジックモデルが使われるようになった背景には、以下の動向が挙げられます。

①社会・個人が公益や社会貢献を重視するようになった。

②企業が社会貢献型の事業を拡充するため、インパクト*を明確に定義するようになった。

*ここでのインパクトとは、事業や組織が目指す変化や効果を指します。

それに答える形として、インパクト達成へのプロセスを明示するツールとして、「ロジックモデル」の企業における利用が広まった。

「未来を実装する」を読めばだいたい理解できます。

https://amzn.asia/d/hCe8k5Y

以降は、上記を補足する形で説明していきます。

ロジックモデル普及の背景

「考え方」のトレンド

まず企業が社会貢献に対する考え方として、

CSR(Corporate Social Responsibility)に加えて、 *企業が社会的責任を果たすことを意味し、環境保護や社会貢献活動などが含まれます。

CSV(Creating Shared Value、共有価値の創造)の考えが普及しました。

CSVとは、企業がビジネス戦略として社会問題の解決を目指し、それによって新たなビジネス機会を創出し利益を上げるという考え方です。

この影響で、NPOCSR部門に限らず、多くのビジネスマンが自社の競争力強化の手段として社会問題の解決を考えるようになりました。

投資のトレンド

考え方の変化もあり、SDGsの後押しもありESG投資の流れが強まりました。

その結果、「インパクト投資」に注目が集まり、ここ数年で急激に普及しました。

(出典)インパクト投資の国内外の最新動向,2022/11/3,社会変革推進財団(SIIF),工藤 七子,URL:https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2022/lm20221130.pdf,p7


インパクト投資とは何か?

概要

定義: 投資が財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的、環境的インパクトを目指すことを明確にする。

(出典)インパクト投資の国内外の最新動向,2022/11/3,社会変革推進財団(SIIF),工藤 七子,URL:https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2022/lm20221130.pdf,p7

上記の図のように、これまでリターン(どれだけ利益を出せるか?)とリスク(ほんとにお金が変えてくるか?)という一般的な投資の評価軸に加えて、「インパクト」という 社会・環境への貢献性を評価する投資のことを指します。

Q:誰がインパクト投資をしているのか?

A:インパクト投資は投資方法の一つであり、個人投資家機関投資家まで誰でも行える。

若干脱線ですが、参考程度に世の中の人がインパクト投資に対して、感じていることについてのレポートがありました。

(出典)一般財団法人社会変革推進財団 (SIIF). (2024年2月22日). インパクト投資に関する消費者意識調査(定性調査)2023年度版. 取得元 https://www.siif.or.jp/wp-ontent/uploads/2024/02/2023_impact_chousahoukoku.pdf

自分と同じような認知状況の方もいることがわかり少し安心しました笑

また、国内でインパクト投資に取り組むファンドもあります。

参考:インパクト投資、新興と二人三脚 社会課題の解決後押し - 日本経済新聞

さて、だいぶ背景で長くなってしまいましたが、これでようやく「ロジックモデル」が使われる経緯がわかります。

ロジックモデルとはなにか?

ロジックモデル概要

  • 何か:インプット→活動→アウトプット→アウトカムを整理するためツール
  • 何のために使うか:事業の内外ステークホルダーとのコミニケーション

Q:なぜロジックモデルが使われるようになったのか?

A:もともとはソーシャルセクター(NPOや慈善団体)やパブリックセクター(行政・自治体など)の評価で使われることが多かったが、

企業の社会的責任(CSR)やESG投資の流れが強まったこと、企業の社会的貢献度(インパクト)を評価するために使われるようになったと考えます。

参考:馬田氏と語る、社会の変え方のイノベーション──未来の理想を道筋とともに提示する「4つの方法」とは? | Biz/Zine(ビズジン)

そして、先に述べたインパクト投資の近年のトレンドもあり

スタートアップをはじめとして企業が資金調達をするうえで、自分たちの事業が「どんなインパクト」を「どのように」達成するかを説明する上で利用されていることも後押しになっていると考えます。

Q:どんなときに使えるのか?

A:事業の内外ステークホルダーとアウトカム・インパクトまでの道筋ついてコミニケーションを取るときに、ロジックモデルを作成します。

内向きとしては「チームで目的と達成方法の共有」するためです。外向きとしては「投資家や顧客に自分たちの事業のインパクトを説明するため」です。

プロダクトマネージャーの場合は、活動やアウトプットがアウトカムにつながっているかを現場よりのエンジニア/セールス/CSなどへのコミニケーションに利用できます。

そのアウトカム(先行指標)が事業・企業がもたらしたいインパクト(遅行指標)*につながるかを経営層とのコミニケーションに利用できます。

参考:プロダクトチームの頭の中を見える化しカスタマーサクセスへ。ロジックモデルの応用。【PdM連載:第2回】URL:プロダクトチームの頭の中を見える化しカスタマーサクセスへ。ロジックモデルの応用。【PdM連載:第2回】|アディッシュ公式note

KPI/KGIに似た概念ですが、特に「売上」「利益」などビジネス面以外の評価においては、ロジックモデルの使用が有効です。(もちろん、ロジックツリーのようにビジネス面でも使えると思います。)

ヘルスケア領域では多くの企業が自社のロジックモデルを公開し、評価も受けているため、参考になると思います。

参考:図解の大御所・ロジックモデルにできること・できないこと | レポート一覧 | 日本財団スタートアップ支援プロジェクト

Q:どうやって作るか?

A:以下の日本財団の参考文献が参考になりそうです。

ロジックモデルのフォーマットダウンロード

ロジックモデル作成ガイド

ロジックモデル解説(社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ)

終わり

もとは、「ロジックモデル」について調べる予定が「インパクト投資」というあまりに深いテーマにぶちあたりました。

もっと掘り下げて理解していきたいですが、今回は当初の疑問に答えるところで止めようと思います。

ただ、私としてもヘルスケア業界に勤しむ企業の多くは「財務的なリターン」だけではなかなか市場から評価されづらい面は確かにあると感じていたので、

それに対してインパクト評価はヘルスケアで事業にとって追い風になり、また事業に関わる人としては評価されることに備える必要がると実感しましたので、今後も勉強してきたいです。

参考文献

  1. 馬田氏と語る、社会の変え方のイノベーション──未来の理想を道筋とともに提示する「4つの方法」とは? | Biz/Zine(ビズジン)

  2. プロダクトチームの頭の中を見える化しカスタマーサクセスへ。ロジックモデルの応用。【PdM連載:第2回】|アディッシュ公式note

  3. 社会的インパクト評価の普及促進に係る調査 | NPOホームページ

  4. 図解の大御所・ロジックモデルにできること・できないこと | レポート一覧 | 日本財団スタートアップ支援プロジェクト

  5. キャピタルメディカ・ベンチャーズ、投資先社会インパクトの最大化を図る為のレスポンシブルイグジットを実行

  6. インパクト投資等に関する検討会報告書 - 社会・環境課題の解決を通じた成長と持続性向上に向けて-, 2023, https://www.fsa.go.jp/singi/impact/siryou/20230630/01.pdf

  7. インパクト投資の拡大に向けた提言書, 2019, https://impactinvestment.jp/user/media/resources-pdf/impact_investment_report_2019.pdf

  8. 経営学の観点から見たスタートアップ:CSV経営 | Coral Capital

  9. ロジックモデルの書き方〔ベーシック・コースより〕 - YouTube

「プロダクトマネジメント」を取り上げているヘルスケア領域のTechプログをまとめてみた

はじめまして

はじめまして、ヘルスケア領域でプロダクトを作っているタナケンです。

 

あんまり発信するタイプの人ではなかったのですが、

 

自分自身が経験したことや学んだことを棚卸し、未来の自分が振り返るため、また、同じヘルスケア領域で物づくり・プロダクト開発をしている人の一助になればと考え、ブログを始めることにしました。

 

今のところ想定している読者は、①医療ドメイン初心者*1②プロダクト開発初心者*2を対象としようと思っております。
*1:プロダクト開発を経験しているが、医療・介護などは詳しくない方
*2:医療従事者などヘルスケア業界での経験はあるが、プロダクト開発が初心者

 

さて、ブログを初めてみようと思ったもの書き方もわからないので、

 

まずは市場調査として、ヘルスケア(主に医療・介護)領域でプロダクトマネジメントについて書かれている個人ブログや企業ブログを調べました。

 

今回は、参考にすべき企業や個人のブログを知るために、各ブログで「プロダクトマネジメント」に関連する記事があるかを確認しました。

 

各ブログで①タグに該当する記事数②ブログ内検索で「プロダクトマネジメント」でヒットする記事数を調査しました。また、その企業がどんなプロダクトを作っているかを把握するため、プロダクトの紹介ページもまとめておきました。

 

それぞれ、どんな内容を発信しているかはまた別の記事にしようと思います。

 

目次

 

調査方法

一応、調査方法もメモ程度に書いておきます。(読み飛ばして大丈夫です)

以下で検索し、医療/介護/ヘルスケアなどの領域の企業ブログ(主にTechブログ、一部は個人ブログ)を対象にしてまとめました。

検索実施時期:2024/02/02

はてなブログでの検索

Twitterでの検索

Googleでの検索

注意点

今回は「プロダクトマネジメント」の技術的な内容を発信しているブログを対象にしたため、以下のような内容のブログは調査の対象外としました。

  • 採用ページにある人物紹介/業務紹介/プロダクト紹介

もし、発信しているが、今回取り上げられていない企業様がございましたら、
ぜひ教えていたただければ幸いです。

 

どれくらい記事を出しているか気になったので、ハッシュタグやブログ内検索*で調査可能なものは調査し、掲載記事数も参考までに載せました。

*ブログ内検索:キーワードを「プロダクトマネジメント」で検索し、ヒット数をカウントしました。

調査結果

企業ブログ

エムスリーテックブログ

プロダクトマネジメント カテゴリーの記事一覧 - エムスリーテックブログ

エス・エム・エス エンジニア テックブログ

プロダクトマネジメント カテゴリーの記事一覧 - エス・エム・エス エンジニア テックブログ

MEDLEY Developer Portal

ブログ | MEDLEY Developer Portal

JMDC TECH BLOG

プロダクトマネジメント の検索結果 - JMDC TECH BLOG

あすけん テックブログ

プロダクトマネジメント の検索結果 - asken テックブログ

DeNA ENGINEERING

BLOG - DeNA Engineering

Kyash Product Blog

Kyash Product Blog

 
株式会社MICIN

株式会社MICIN | Zenn

PharmaX Blog

エンジニアチーム|PharmaX Blog|note

株式会社ヘンリー エンジニアブログ

プロダクトマネジメント の検索結果 - 株式会社ヘンリー エンジニアブログ

Fast DOCTOR Technologies TECH BLOG

Fast DOCTOR Technologies TECH BLOG

メドピア開発者ブログ

メドピア開発者ブログ

CureApp テックブログ

CureApp テックブログ | Zenn

Ubie Engineers' Blogs

Ubie Engineers' Blogs

ゼスト Tech Blog

ゼスト Tech Blog

(番外編)個人ブログ

aritaku(有村琢磨)さん

aritaku(有村琢磨)|note

田中大地/アジヘルさん

アジヘルのヘルスケアビジネス考察日記

まとめ

この記事では14件のヘルスケア領域で事業を持つ企業のテックブログを見つけました。ほとんどのブログでプロダクトマネジメントに関する情報が発信されていました。

 

ただ、PdMの人数が少ないことも影響して、記事の本数はどこもエンジニアリングに関する内容と比較して少ない傾向にありました。

 

また、全てを詳細に目を通したわけではありませんが、多くの内容はヘルスケアに特化しておらず、「一般的(汎用性が高い)プロダクトマネジメント」の方法や思考に関して書かれていました。

 

その理由としては、他業界の人にも情報を発信し、業界や自社に興味を持ってもらう目的があることや、PdM自体が特定のドメインよりも「プロダクトマネジメント」の専門性を追求しているのではないかと考えます。

 

このため、私は「ヘルスケアドメインに特化したプロダクトマネジメントに関する情報が不足しており、ドメイン初心者のPdM、BizDev、エンジニアが困っているのではないか?」という仮説を立て、このブログを通じて問題解決に寄与しようと考えています。

 

今後ともよろしくお願いします。